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coming soon
GALLERY MoMo Ryogokuでは1月14日(土)~2月18日(土)まで、所属作家、奥田文子、早川克己、阪本トクロウ、吉田晋之介によるグループ展「landscape」を開催いたします。4人の作家が異なる手法と切り取り方で生み出す様々な風景をご堪能いただければ幸いです。
奥田は1980年大阪生まれ、2005年に大阪教育大学大学院を修了、同年「夢広場はるひ絵画ビエンナーレ」で奨励賞を受賞し、その後教職に就き、翌年はシェル美術賞展に入選、大阪での個展を続けながら、当ギャラリーでも継続して発表を続けています。また、ニューヨークのみずほ銀行に作品が収蔵され、昨年は、SOMPO美術館で開催される「絵画のゆくえ2022」に参加するなど活躍の場を広げています。本展では、SOMPO美術館で展示された作品を再度展示する予定です。
奥田は以前より、自身が足を運んだ旅先の風景、特に広大な海や山をモチーフの中に、人と独特の光と影を描いてきました。自然の中に描かれる人物は、その風景の大きなスケール感の中で卑小とも言える存在感ですが、シンプルに描かれながらも風景と一体化して溶け込み、自然と共にある人間の営みやありようを示しています。その描写は、奥田自身が目で捉えた実際の風景と、感性や思考という内面的で精神的な過程で濾過されてきた、いわば情景の記憶とでも言える風景となっています。
現実とはかけ離れた小さなスケールで描かれた人々、木々の間から漏れる温かい光や、水に反射した光の表現はそのままに、身近な風景を折り込みながら、人の存在や周りの世界が不確かなものになるような感覚を観る者に与えます。誰もが見るような風景を描きながら、作家の目を通したその情景は観る人に新鮮で清々としたイメージをもたらし、風景に溶け込んでいくかのような感覚にさえ捕われます。
阪本トクロウは1975年山梨県生まれ、1999年に東京藝術大学美術学科絵画科日本画専攻を卒業しました。しかし、麻紙に質感の高い岩絵の具により、現代の日本的なモチーフを描くのに適した画材としてアクリル絵具を選び、独自の絵画世界を切り開き、多くの個展を重ねてきました。
阪本は初期より、日常生活の中で目にした自然の風景や人工的な構造物を等価の眼差しで見つめ、そこで繰り返されるリズムや反復、重なりや中空に美を見出し、必要な要素を抽出してシンプルに画面に再構成しています。作家が実際に目にした特定の風景や構造物であるにも関わらず、作品として浮かび上がるそれらのモチーフは具象絵画でありながら極めて抽象性が高く、見る人に既視感を持って迫り、個々の記憶の中にある風景と交差するように仕組まれています。
本展でも、阪本の独特な風景の切り取り方と、フラットな画面の中に、鑑賞者の記憶をくすぐられる描写を盛り込んだ作品を展示いたします。
早川克己は 1970 年栃木県生まれ、92 年日本大学芸術学部美術学科卒業後アメリカに渡り、98 年には School of Visual Arts New York にて修士号を取得、その後ニューヨークで制作発表を続け、ヒューストンの McClain Gallery では定期的に個展を継続して来ました。08 年に帰国後は東京に拠点を移し、 主に当ギャラリーでの個展を中心に、アメリカ、ドイツ、スペイン、台湾など世界的なスケールで作品を発表しています。また、作品は、マラガの美術館、ターゲット、ルイヴィトンコレクションに収蔵されています。
早川は初期作品では、絵の具を何層にも重ねた色層を電動ドリルで削り取り、色と面、線の構成により、都市を俯瞰したイメージとマイクロチップのようなイメージ、ミクロとマクロが混成した作品の探求に取り組んできました。現在は、コンセプトはそのままに、<紙>というありふれた素材で、実空間を作り形態と空間の関係性、隙間による透過性と空間の関わりを探求してきました。<リフレクション>シリーズは、5mmと10mmにカットされた鏡面板をそれぞれに角度をつけて無数に配置し、光を受けて乱反射する画面の中、虚像と実像、不在と実在、作品と鑑賞者の関係性の考察を試みた作品です。
本展では、その都心のビルの窓が乱反射する景色を俯瞰してみたような作品に、青を取り入れた<ブルーリフレクション>を展示する予定です。
吉田晋之介は1983年埼玉県生まれ、2012年東京藝術大学大学院を修了し、2009年のシェル美術賞展で準グランプリ、2012年のアートアワードトーキョーでは長谷川裕子賞を受賞しました。2013年にはVOCA展にて佳作賞を受賞、また神戸ビエナーレ2013や大阪、東京、金沢と巡回した グループ展「北加賀屋クロッシング2013 MOBILIS IN MOBILI-交錯する現在-」にも参加し、高い評価を得、2014年には、岡本太郎賞に入選しました。
初期から自然と人工物を描きましたが、近年の作品は、具象的なイメージと抽象的なイメージが画面に交錯した作品が特徴的です。自らの体験から得られるアナログな世界と、テレビやパソコンを通じて視覚的に得たデジタルな画像が混在して、災害やコロナ禍など混沌とした世界観を表現しています。しかし、吉田にとってそのどちらもリアルな世界であり、時間的な要素も組みして意図的にカオティック(Chaotic)で、ネガティブな側面とポジティブな側面の撹乱を試みています。
本展では、コロナ禍の小さな動きから見えてくる日常を「潜望鏡」で覗くように映した映像作品「PERISCOPE」を展示します。
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